父の気遣い

我が家は水道料金は集金制にしている。
理由は集金人の仕事を残すという生前の親父の考えからだ。
実際に最近までおばさんが集金に来ると、ちょっとした世間話なんかをしていた。
そのおばさんも年には勝てず何ヶ月か前に辞めてしまい、後任には私とあまり年も変わらない男性が来るようになった。


集金にきたおじさんに料金を払いながらふと気づいた。
金額が多いのである。
いつもの倍近い。
おかしいなと思ってそのことを言うと
「そういえば そうですね・・・・・」
明細をみると自宅の水道料より畑のほうが多い、
それも倍である。
「あれ、これどうしたんだろう?」
「ひょっとしたら水漏れかもしれませんね」
「ああ そうか 自宅のより畑のほうが多いなんて変だよね」
「一度役場に連絡してみたらいいですよ」
おじさんは役場の水道課の担当者の名前まで教えてくれた。
「Kという人が同じ岡田の人でいますから・・・」
こういう場合、確かに同じ町にすんでいる人のほうが話が早いのである。



早速 役場へ電話すると、なんと本人が出た。
もちろん会ったことはないが、こちらの名前を名乗るとわかったような返事。
「もし今からでもよければ現場に行きましょうか?」
ということで分かりやすいところで待ち合わせをして畑の水道メーターをみてもらった。
「あっやっぱり漏れていますね」
「やっぱりそうか、じゃ悪いけど使うときだけ栓を開けるようにしておこうか?」
「そうですね、漏れ方も小さいので工事することもないでしょうから」
とにかくこれで一段落。
電話したその日にすぐやってくれたのでこちらは大助かり。

聞くとK君は私の後輩の息子さん。
集金のおじさんが名前を出した理由がわかった。
真面目な好青年だった。
「またなにかあったら連絡してください」
K君はそう言って役場の軽自動車で帰って行った。
電話してからチェックが終わるまでわずか30分。

親父の方針のおかげで金額がおかしいとわかったわけだ。
これが自動引き落としだったらしばらく気がつかなかった。
もうひとつ集金にしているのは理由あった。
安否確認である。
今は私が安否確認の対象者となってしまった・・・・・・・。

読んだ本

申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
天国までの百マイル (朝日文庫)
暴露:スノーデンが私に託したファイル
永遠の旅行者(下)
驕れる白人と闘うための日本近代史
震える牛 (小学館文庫)
リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)
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